仙台赤十字病医誌 Vol.30, No.1, 19-25, 2021

原著

東北ブロックにおける血液製剤の効率的自給体制を目指して

日本赤十字社東北ブロック血液センター

中川 国利  早坂  勤  田村 昭彦
佐藤奈穂子  星  尚宏  佐藤 和人

For Effective Self-sufficiency of Blood Products in Tohoku Block

Japanese Red Cross Tohoku Block Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Tsutomu HAYASAKA, Akihiko TAMURA, Naoko SATO,
Takahiro HOSHI and Kazuhito SATO

要旨

血液製剤の効率的自給体制を目指した,東北ブロックの取り組みを紹介する.2012年度からの広域血液事業運営に伴い,東北ブロックにおける採血の平準化を図るため,全血採血は2016年度から東北ブロック内で占める各県供給量割合に献血可能年齢に近い生産年齢人口割合を加味した.初年度は各県採血計画を生産年齢人口割合および供給量割合を5:5とし,達成度を確認しながら生産年齢人口割合を高め,さらに2019年度からは県別全献血者割合を生産年齢人口割合にほぼ合わせた.また成分採血は採血から製造までの時間的制約を考慮し,製造所に近い県では新鮮凍結血漿や血小板を,遠い県では分画製剤用原料血漿を優先した.さらに400 mL採血率や血小板分割採血率の向上に努め,全ての血液製剤において他ブロック依存から脱却しつつある.過疎化・少子高齢化が顕著で自然環境が厳しい東北ブロックではあるが,効率的な広域事業運営の推進により血液の自給体制を確立しつつある.


Key words: 血液製剤供給,採血役割分担,献血推進,血液安定供給,血液事業運営