仙台赤十字病医誌　Vol.29, No.1, 71-77, 2020

看護研究

急性期病院病棟看護師が退院後訪問の実践で得た体験の分析

仙台赤十字病院　看護部

松本　亜矢　　佐藤　真由　　加藤　千恵

Analysis of the Experience of an Acute Stage Hospital Ward Nurse from Visiting a Discharged Patient

Nursing Department, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Aya MATSUMOTO, Mayu SATO and Chie KATO

要旨

本研究は，退院後訪問を行った急性期病院の外科系病棟看護師が，退院後訪問を実践して得られた体験を明らかにすることを目的とし，6人の看護師を対象に半構成的面接を行った．分析の結果，「生活に沿わない退院指導の振り返り」「生活者として患者をとらえる視点への変化」「退院後訪問を病棟看護師が行う価値の認識」「在宅療養の移行を支援できた達成感」「在宅療養指導を実践するための支えの実感」の5つのカテゴリーが抽出された．これまでの退院指導が患者の生活に沿わず不十分であったことへの気づきを体験し，生活者としての患者と向き合うことの重要性を実感していた．また，病棟看護師として退院後訪問を行う価値を感じ，在宅療養への移行を支援できたことの達成感を得ていた．急性期病院の外科系病棟看護師は退院後訪問を行うことで，生活者としての患者と接し在宅療養への関心を深め，退院支援の質向上につながる貴重な体験を得ていた．

Key words: 退院後訪問，病棟看護師，退院支援