仙台赤十字病医誌 Vol.29, No.1, 67-70, 2020

症例報告

餅によるS状結腸穿孔の1例

仙台赤十字病院 外科

金子 直征  舟山 裕士  角川陽一郎
小林 照忠  廣澤 貴志

A Case of Sigmoid Colon Perforation Due to a Rice Cake

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Naoyuki KANEKO, Yuji FUNAYAMA, Yoichiro KAKUGAWA,
Terutada KOBAYASHI and Takashi HIROSAWA

要旨

症例は67歳,男性.腹痛にて当院に紹介された.腹部所見では下腹部に筋性防御を伴う圧痛を認め,CT検査ではS状結腸の内部に均一な高濃度構造物,free airと腹水を認め,異物によるS状結腸穿孔と診断して緊急手術を施行した.手術所見ではS状結腸に約3cmの扁平で鋭利な異物を認め,その異物によりS状結腸が穿孔しており,ハルトマン手術を行った.術後に本人に確認したところ,その異物は前日に食べた硬い餅であったことが判明し,餅によるS状結腸穿孔と診断した.
 異物による消化管穿孔は比較的稀な病態であり,さらに餅による消化管穿孔の報告例はほとんどない.今回我々は餅によってS状結腸が穿孔した症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.


Key words: 消化管穿孔,餅,食餌性異物