仙台赤十字病医誌　Vol.29, No.1, 39-44, 2020

原著

小児の慢性便秘症における薬品説明の効果

^1）仙台赤十字病院　小児外科，^2）薬剤部

伊勢　一哉^1）　　岡村　　敦^1）　　佐藤　香子^2）

The Effect of Drug Explanation for Chronic Constipation in Children

^1）Department of Surgery, ^2）Department of Phrmacy, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kazuya ISE^1）, Atsushi OKAMURA^1） and Kouko SATOH^2）

要旨

便秘症に対する便秘薬の有効性は明らかである．しかし，慢性便秘症と診断され長期処方となる場合，不安定な排便状況が続く結果として治療期間がさらに長期化することがある．処方時には薬局で服薬指導が行われているものの，服薬コンプライアンスの低下から，減量や終了となるには時間を要する．そこで，便秘薬の効果を正しく理解してもらい治療に反映させるため，再来診察時に薬品説明を行った．通院期間を長・中・短期に分け，説明の有無別に，1年間の排便状況，薬剤投与量，受診間隔，1年後の治療結果について検討した．長期群ではどの項目も明らかな変化は見られず，中期群では改善例が多い傾向が見られた．薬剤投与量は中・短期群で半数に減少が見られたが，受診間隔とも各群間に差はなかった．慢性便秘症患者の通院期間の長期化には，様々な因子が関連するが，薬品説明が便秘症状の改善効果をもたらすことが期待された．

Key words: 小児，慢性便秘症，薬品説明