仙台赤十字病医誌　Vol.29, No.1, 31-37, 2020

原　著

DAA治療によりSVRとなるも血清ALT値上昇が続くC型慢性肝疾患に対するUDCAの効果

仙台赤十字病院　消化器内科

菅野　　厚　　片岡晃二郎　　中野絵里子
大森　信弥　　大楽　尚弘

An Effect of Ursodeoxycholic Acid on Elevation of Serum ALT Levels in Patients with
Hepatitis C Virus-related Chronic Liver Disease Who Were Successfully Treated with Direct Acting Antivirals

Department of Gastroenterology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Atsushi KANNO, Kojiro KATAOKA, Eriko NAKANO,
Shinya OMORI and Naohiro DAIRAKU

要旨

直接作用型抗ウイルス薬（DAA）によりウイルス学的持続陰性化（SVR）が得られたC型慢性肝疾患患者54例中，6例に血清アラニンアミノトランスフェラーゼ（ALT）値の上昇がみられた．ALT値上昇の原因は，1例が脂肪肝，残り5例は不明であった．原因不明のALT値上昇を認めた4例に対しウルソデオキシコール酸（UDCA）の投与を行った．その結果，ALT正常化が2例，無効が1例，副作用のため中止が1例であった．DAA治療SVR後も続く血清ALT値上昇に対する治療として，UDCAが選択肢の一つとなり得ることが示唆された．

Key words: C型肝炎，直接作用型抗ウイルス薬，ウイルス学的持続陰性化　トランスアミナーゼ異常　ウルソデオキシコール酸