仙台赤十字病医誌　Vol.29, No.1, 17-23, 2020

原　著

東北における血液供給量の推移と地域的特異性

日本赤十字社東北ブロック血液センター

中川　国利　　早坂　　勤　　築舘　和良
鈴木　浩一　　星　　尚宏　　佐藤　和人

The Change and Regional Specificity of the Blood Supply in Tohoku

Japanese Red Cross Tohoku Block Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Tsutomu HAYASAKA, Katsunao TSUKITATE, Koichi SUZUKI,
Takahiro HOSHI and Kazuhito SATO

要旨

東北における血液供給量の推移と地域的特異性について，全国と比較して検討した．検討期間は2012年度から2018年度までの7年間とした．全国の血液供給量は赤血球・血漿・血小板いずれの製剤においても若干ながら漸減した．東北の漸減率はいずれの製剤においても全国を上回り，とくに秋田県や岩手県での赤血球・血小板の減少が顕著であった．また東北の2018年度人口千人当りの供給量は，赤血球は全国とほぼ同量，血漿や血小板は全国以下であった．県別では赤血球は青森県や福島県で全国より多く，宮城県が最も少なかった．血漿は福島県のみが全国より若干多く，秋田県が最も少なかった．血小板は秋田県や青森県が全国より多く，山形県が最も少なかった．高齢者比率が最も高い東北において人口千人当りの供給量が全国より少ない理由としては，東北の各県合同輸血療法委員会が血液の適正使用を強力に推進したためと思われる．

Key words: 血液供給量，血液適正使用，地域的特異性，合同輸血療法委員会，少子高齢社会