仙台赤十字病医誌　Vol.28, No.1, 27-33, 2019

原著

下部直腸腫瘍に対する括約筋間直腸切除術の成績

^1）仙台赤十字病院，産婦人科，^2）東北労災病院　大腸肛門外科

舟山　裕士^1）　　大越　崇彦^1）　　小林　照忠^1）
大村　範幸^1）　　金子　直征^1）　　深町　　伸^1）
廣澤　貴志^1）　　高橋　賢一^2）　　羽根田　祥^2）

Surgical Results of Intersphincteric Resection in Patients with Very Low Rectal Tumor

^1）Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital
^2）Department of Colorectal Surgery, Tohoku Rosai Hospital

Yuji FUNAMAYA^1）, Takahiko OGOSHI^1）, Terutada KOBAYASHI^1）, Noriyuki OHMURA^1）,
Naoyuki KANEKO^1）, Shin FUKAMACHI^1）, Takashi HIROSAWA^1）,
Ken-ichi TAKAHASHI^2） and Sho HANEDA^2）

要旨

2007年7月より2018年9月までに括約筋間直腸切除術（ISR）を施行した33例の患者を対象とした．男女比は24:9，手術時年齢は61.4（31.1-82.0）（中央値（最大値-最小値））歳，術後経過観察期間は43.1（3.2-100.5）ヵ月であった．原疾患は，直腸癌29例，消化管間質腫瘍3例，神経内分泌腫瘍が1例であった．全例において歯状線で内肛門括約筋を一部切除し吻合する“partial ISR”を行った．腹腔鏡手術は11例に行い，11例に側方郭清が施行された．手術時間は433（278-593）分，出血量は465（80-2,150）gであった．全例にストーマ造設を行った．術後合併症は12例に認めた．局所再発は皆無で5年以上経過観察した22例中で生存は20例（91%）であった．術後の排便機能は経時的に改善し，機能的にも満足すべきものであった．本研究より，ISRは，根治性においても問題なく肛門温存手術として認容されるものと思われた．

Key words: 直腸癌，括約筋間直腸切除術（ISR），排便機能