仙台赤十字病医誌　Vol.28, No.1, 13-18, 2019

原著

宮城県における献血の現状と課題

宮城県赤十字血液センター

中川　国利　　高嶋　和弘　　上杉　雄二
狩野　　健　　及川　伸治　　中島　信雄
澤村　佳宏

Current Status and Problems of Blood Donation in Miyagi Prefecture

Miyagi Red Cross Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Kazuhiro TAKASHIMA, Yuji UESUGI, Ken KARINO,
Shinji OIKAWA, Nobuo NAKAJIMA and Yoshihiro SAWAMURA

要旨

宮城県における献血の現状を把握すると共に課題について検討した．献血者数は平成14年度109,187名であったが，若年層を中心に平成29年度86,680名に減少した．そこで必要な血液量を確保すると共に需要に応じるため，200mL採血を削減して400mL採血を推進した．また2名分の血小板を1名の献血者から採血する分割採血を推進した．その結果，県内必要献血者数を確保すると共に，血液事業の広域化に伴う東北ブロックの他県への供給も可能になりつつある．また献血バス1稼働当たりの献血者数を増加させて効率化を図ると共に，採血に伴う副作用対策として水分補給や下肢筋緊張運動などを積極的に行ったところ，血管迷走神経反応発生率は減少した．若年層を中心に献血者の減少は著しいが，今後も安全な血液の安定供給を堅持するためには，主に若年層を対象にしたさらなる献血推進や東北ブロックを越えた広域的事業運営が求められる．

Key words: 献血，献血推進，血液製剤安定供給，若年層献血，採血副作用