仙台赤十字病医誌　Vol.27, No.1, 69-73, 2018

症例報告

当院で1年間に経験した前置血管5症例についての検討

仙台赤十字病院　総合周産期母子医療センター・産科

笠原　祥子　　佐藤　多代　　氷室　裕美
柳田　純子　　齋藤　美帆　　太田　恭子
中里　浩樹　　千坂　　泰　　鈴木　久也
谷川原真吾

Five Cases of Vasa Previa

Department of Obstetrics, Prenatal Medical Center, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Shoko KASAHARA, Kazuyo SATO, Hiromi HIMURO, Junko YANAGIDA, Miho SAITO, Kyoko OTA,
Hiroki NAKASATO, Hiroshi CHISAKA, Hisaya SUZUKI and Shingo TANIGAWARA

要旨

前置血管とは，Wharton膠質に覆われない脆弱な臍帯血管が卵膜上を走行し内子宮口付近に存在する病態を指す．妊娠中に診断し，適切な管理を行い帝王切開術を施行することが重要である．我々は2016年12月から2017年11月までの1年間で5例の前置血管症例を経験し，それぞれ妊娠24週，34週，35週で1例ずつ，37週で2例においていずれも生児を得ることができた．
　前置血管診断後は，個々の病状も考慮した上で，遅くとも妊娠30週頃から管理入院を行った．診断に際しては経腟超音波検査が不可欠であるが，断層法にカラードプラ法を併用することでより正確な診断が可能となる．当院では妊娠中期の頸管長測定の際にカラードプラ法を併用している．

Key words：前置血管，経腟超音波カラードプラ法，帝王切開術