仙台赤十字病医誌 Vol.27, No.1, 57-60, 2018

症例報告

術後28年目に盲腸憩室炎を契機に摘出された
腹腔内異物の1例

仙台赤十字病院 外科

石居健太郎  深町  伸  金子 直征
小林 照忠  大越 崇彦  舟山 裕士

A Case of Intraperitoneal Foreign Body Removed 28 Years Postoperatively

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kentaro ISHII, Shin FUKAMACHI, Naoyuki KANEKO,
Terutada KOBAYASHI, Takahiko OGOSHI and Yuji FUNAYAMA

要旨

症例は54歳女性.28年前に左卵巣嚢腫の手術歴がある.右下腹部痛を主訴に近医を受診し,虫垂炎の疑いで当科紹介受診となった.CT検査で盲腸から上行結腸の多発憩室と結腸壁に接する径約5cmの球形腫瘤を認めた.血液検査では炎症反応の上昇を認めた.憩室炎に伴う膿瘍形成を疑い,抗生剤投与による保存的治療を開始したが,腹部症状の改善を認めないため入院3日目に手術の方針となった.術中所見では回盲部腹側に腫瘤を認め,回盲部切除術を施行した.標本所見で盲腸壁の多発憩室と膿瘍を認め,膿瘍内にはガーゼによる腹腔内異物を認めた.異物は以前の手術における遺残と考えられた.長期間経過した腹腔内異物は術前診断に苦慮することが多く,これまでに報告された特徴的な画像所見を踏まえて報告する.


Key words:腹腔内異物,憩室炎,ガーゼ,画像所見