仙台赤十字病医誌　Vol.27, No.1, 47-51, 2018

症例報告

Accessory and cavitated uterine masses（ACUM）の1例

仙台赤十字病院　産婦人科

太田　恭子　　笠原　祥子　　氷室　裕美
柳田　純子　　齋藤　美帆　　中里　浩樹
佐藤　多代　　千坂　　泰　　鈴木　久也
谷川原真吾

A Case of Accessory and Cavitated Uterine Masses （ACUM）

Department of Obstetrics and Gynecology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kyoko OTA, Syoko KASAHARA, Hiromi HIMURO, Junko YANAGIDA, Miho SAITO,
Hiroki NAKASATO, Kazuyo SATO, Hiroshi CHISAKA,
Hisaya SUZUKI and Shingo TANIGAWARA

要旨

Accessory and cavitated uterine masses （ACUM）は正常子宮に発生する嚢胞性腫瘤で，ミューラー管の発生異常が原因と推察されている．症例は34歳，1妊1産．産後月経痛が増強し持続する腹痛を認めA内科を受診し，卵巣腫瘍が疑われB病院産婦人科紹介となった．B病院では子宮浮腫・子宮奇形の疑いと説明され子宮全摘を勧められた．セカンドオピニオン目的にA内科より当科紹介となった．超音波検査で子宮体部筋層内に2cm大の腫瘤を認め，各種検査の後開腹手術を行った．術中所見では子宮・左右付属器ともに正常に位置し，左円靭帯の背側，左固有靭帯との間に2cm大の堅い腫瘤を認め，核出した．腫瘤内容はチョコレート色の古い血液で，病理組織学検査は内腔に子宮内膜組織を認める平滑筋腫瘤との結果であった．従来は嚢胞性子宮腺筋症などと扱われてきたが，本症例はACUMの定義に合致しており，子宮腺筋症とは異なる病態と考えられた．

Key words： accessory and cavitated uterine masses （ACUM），子宮腫瘤，ミューラー管奇形，子宮腺筋症