仙台赤十字病医誌　Vol.27, No.1, 19-24, 2018

原著

医療施設における献血推進
〜医療従事者は有望な献血協力者〜

宮城県赤十字血液センター

中川　国利　　猪野　　健　　青木　利昭
高橋　勝彦　　中島　信雄　　澤村　佳宏

Campaign of Blood Donation in Medical Facilities:
Medical Workers are Proposed Candidates for Blood Donation

Miyagi Red Cross Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Takeshi INO, Toshiaki AOKI,
Katsuhiko TAKAHASHI, Nobuo NAKAJIMA and Yoshihiro SAWAMURA

要旨

医療施設には血液の重要性を理解する職員が数多く勤務している．そこで宮城県の医療施設における献血バスでの献血状況を把握すると共に，献血者確保の対応策を検討した．平成28年度に献血バスを配車した医療施設は37施設で，延べ配車回数57回，献血者879名，1回当たりの平均献血者15.4名であった．一方，医療施設を除く事業所の1回当たりの平均献血者は31.3名であった．医療施設では献血者が少ないため，採血時間を短縮し，配車を中止せざるを得ない状況にあった．しかし規模が小さな医療施設でも院長自ら献血し，職員に献血を積極的に奨励する施設では献血者が多かった．また医学生に対する献血啓発講演により，献血への関心や協力が高まった．医療従事者は潜在的に有望な献血協力者であり，医療施設で献血啓発活動を積極的に行い，施設での献血バスによる献血のみならず献血ルームでの献血を推進する必要がある．

Key words：献血推進，医療施設，医療従事者，献血者