仙台赤十字病医誌 Vol.27, No.1, 11-18, 2018

原著

宮城県における血液供給の現状と課題

宮城県赤十字血液センター

中川 国利  柴田 正道  工藤 浩司
築舘 和良  中島 信雄  澤村 佳宏

Current Status and Problems of Blood Supply in Miyagi Prefecture

Miyagi Red Cross Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Masamichi SHIBATA, Koji KUDO,
Katsunao TSUKITATE, Nobuo NAKAJIMA and Yoshihiro SAWAMURA

要旨

宮城県における血液供給の現状と課題について報告する.過去22年間の宮城県における血液製剤別供給量の推移は,赤血球はほぼ一定,血漿は4割に減少,血小板は1.6倍に増加した.また血液供給医療施設は過去12年間で212施設から150施設に漸減し,供給量の多い施設への集約傾向を認めた.緊急搬送は漸増しつつあったが,定期搬送集約への取り組みにより近年は減少した.また平成24年度からの全国を7ブロックとした広域需給管理体制移行により,血液製剤の使用期間切れによる廃棄率は減少し,まれな血液型製剤の供給も容易になった.医療費抑制政策下においても医療に必要不可欠な血液事業を堅持するためには,さらなる業務の改善と効率化を進め,安全な血液の安定供給に努める必要がある.また医療施設には血液センターの実情を理解され,公共のインフラとして活用されることを切望する.


Key words: 血液供給,血液製剤,宮城県赤十字血液センター,広域血液需給管理