仙台赤十字病医誌　Vol.26, No.1, 101-107, 2017

症例報告

急性期離脱後にHeinz小体を伴った溶血性貧血を呈した極低出生体重児4症例の検討

^1）仙台赤十字病院　新生児科，^2）石巻赤十字病院　小児科，^3）長崎大学　小児科

小野　寿和^1）2）　　千葉　洋夫^1）　　三条　雅敏^1）
佐藤　智樹^1）　　石川　香織^1）3）　　高橋　立子^1）

Acute Hemolytic Anemia with Heinz bodies in Very Low Birth Weight Infants:
A Series of Four Cases

^1）Department of Neonatology, Japanese Red Cross Sendai Hospital,
^2）Department of Pediatrics, Japanese Red Cross Ishinomaki Hospital,
^3）Department of Pediatrics, Nagasaki University

Toshikazu ONO^1）2）, Hiroo CHIBA^1）, Masatoshi SANJYO^1）,
Tomoki SATO^1）, Kaori ISHIKAWA^1）3） and Ritsuko TAKAHASHI^1）

要旨

極低出生体重児において，急性期離脱後にHeinz小体を伴った溶血性貧血と黄疸が急激に進行する疾患が知られている．新生児稀有疾患として全国調査が進行中であるが原因は不明である．当施設においても4例に本疾患の発症を認め，臨床的な検討を行った．在胎週数23〜26週，出生体重757〜886g，Apgar score 1-7/4-8点（1/5分値），発症日齢5〜22日で，血清総ビリルビン（TB）最高値は10.2〜13.8mg/dl，アンバウンドビリルビン（UB）最高値は0.48〜1.28μg/dlであった．4症例ともに明らかな原因は特定できなかった．1例は後に核黄疸と診断され，脳性麻痺（ジスキネジア型）を後遺した．その症例ではTB値に比して，UB値が高値であった．本疾患においても UB値を経時的に測定し，治療介入する重要性が示唆された．

Key words:極低出生体重児，溶血性貧血，黄疸，Heinz小体，アンバウンドビリルビン