仙台赤十字病医誌　Vol.26, No.1, 69-75, 2017

症例報告

出生前診断したGalen大静脈瘤の1例

仙台赤十字病院　産婦人科

藤峯　絢子　　鈴木　久也　　横山　智之
氷室　裕美　　柳田　純子　　佐藤いずみ
齋藤　美帆　　太田　恭子　　中里　浩樹
谷川原真吾

Prenatal Diagnosis of Vein of Galen Aneurysmal Malformation, a Case Report

Department of Obstetrics and Gynecology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Ayako FUJIMINE, Hisaya SUZUKI, Tomoyuki YOKOYAMA, Hiromi HIMURO,
Junko YANAGIDA, Izumi SATO, Miho SAITO, Kyoko OTA,
Hiroki NAKASATO and Shingo TANIGAWARA

要旨

Galen大静脈瘤は小児に特徴的な脳動静脈奇形で稀な疾患である．頭蓋内嚢胞と心拡大・三尖弁逆流を契機に出生前診断したGalen大静脈瘤の1例を経験したので報告する．妊娠26週に胎児超音波検査で頭蓋内嚢胞と心拡大，三尖弁逆流，上大静脈の拡張を認め，高拍出性心不全を伴うGalen大静脈瘤と出生前診断した．高次施設に紹介後，心不全が増悪し，胎児水腫の所見を認めた．妊娠31週5日に帝王切開術で出生し，児は生後2日目に永眠した．胎児超音波検査で心拡大を認める際にはGalen大静脈瘤も念頭におき，頭蓋内嚢胞像のチェックを行う必要がある．血管内治療の進歩によりGalen大静脈瘤の予後は向上しているが，胎児期に診断された場合は予後不良例も多く，治療の適応は個々の症例に応じ慎重に判断する必要がある．

Key words:Galen大静脈瘤，頭蓋内嚢胞，胎児心不全，胎児超音波検査，出生前診断