仙台赤十字病医誌 Vol.26, No.1, 63-67, 2017

症例報告

フェリチンと可溶性インターロイキン2受容体の異常高値を認めた粟粒結核の1例

仙台赤十字病院 呼吸器内科

山並 寛明  清水川 稔  三木  誠
阿部 恭子  徐  東傑

A Case of Miliary Tuberculosis with Abnormally High Levels of Ferritin and
Soluble Interleukin-2 Receptor

Department of Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hiroaki YAMANAMI, Minoru SHIMIZUKAWA, Makoto MIKI,
Kyoko ABE and Dongjie XU

要旨

症例は73歳,男性.当院受診前月,食欲低下と体重減少を主訴に前医を受診.CRP高値のため抗菌薬を処方されたが改善せず.再診時の胸部X線画像,胸部CTで両肺野のびまん性陰影を指摘され,間質性肺炎の疑いとして当院に紹介され入院した.血液検査では白血球数 5,360/μl,CRP 9.886mg/dl,肝酵素軽度上昇,フェリチン 1,526ng/ml,可溶性インターロイキン2受容体(soluble interleukin-2 receptors;sIL-2R)3,510U/mlであった.喀痰塗抹標本から抗酸菌が検出され,喀痰と尿で結核菌PCR陽性となったため,粟粒結核と診断し,治療導入の上結核専門施設に転院した.3か月間の治療で排菌が陰性化し当院での外来治療に移行.治療7か月時点でフェリチン,sIL-2Rはいずれも低下がみられたものの基準値より依然高値だった.


Key words:フェリチン,可溶性インターロイキン2受容体,結核