仙台赤十字病医誌　Vol.26, No.1, 57-61, 2017

症例報告

待機的な帝王切開術において肺水腫をきたした2症例

^1）仙台赤十字病院　麻酔科，^2）石巻赤十字病院　麻酔科

山本　庸子^1）　　鈴木　　潤^2）　　井汲　沙織^1）
佐々木規喜^1）　　石井　　仁^1）

Two Cases of Pulmonary Edema during Elective Cesarean Section

^1）Department of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital
^2）Department of Anesthesia, Japanese Red Cross Ishinomaki Hospital

Yoko YAMAMOTO^1）, Jun SUZUKI^2）, Saori IKUMI^1）
CHIKANOBU SASAKI^1） and Hitoshi ISHII^1）

要旨

待機的帝王切開の周術期に肺水腫を発症した2症例を経験した．
　症例1は双胎妊娠，切迫早産のために妊娠26週より塩酸リトドリン投与を開始され， 36週で帝王切開術が施行された．手術終了時よりSpO2の低下を認め，胸部X線写真で肺水腫の診断となった．
　症例2は前置胎盤，切迫早産のために妊娠26週より塩酸リトドリン投与を開始され， 37週に帝王切開術が施行された．児娩出前より喘鳴とSpO2の低下が出現し，徐々に顔面の著明な浮腫を呈した．術後胸部X線写真で肺水腫の診断となった．
　周産期に肺水腫を起こす原因としては様々なものがあるが，今回の2症例は経過より塩酸リトドリンがその一因となっていると考えられた．

Key words:肺水腫，塩酸リトドリン，帝王切開