仙台赤十字病医誌 Vol.26, No.1, 35-40, 2017

原著

新生児頭部MRIにおけるT2*強調像の有用性

仙台赤十字病院 放射線科

岡田 秀人  油井奈保子

T2* Weighted Images in Neonatal Brain MRI

Department of Radiology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hideto OKADA and Naoko YUI

要旨

T2*強調像は局所磁場の不均一性が強調されることにより,出血性病変を鋭敏にとらえる事ができる撮像法である.過去2年間に頭部MRI検査が施行された新生児症例の中から上衣下出血などの出血性病変が疑われた16例を対象に,一般的に行われているT2強調像と比較してその有用性を検討した.出血性病変の検出し易さ,病変と正常組織とのコントラスト,病変の大きさ,病変の数の4項目を2名の医師が5段階評価で比較した.合計8つの比較検定すべてにおいて1%または5%の危険率でT2*強調像がT2強調像より有意に出血性病変の診断に優れていた.出血性病変を確実に検出することは上衣下出血のPapile分類grade IVなどの神経学的予後不良因子の診断につながり,治療方針などに寄与すると思われるので1〜3),出血リスクのある場合は行うべき検査と思われる.


Key words:T2*強調像,新生児,頭部,MRI,上衣下出血