仙台赤十字病医誌 Vol.25, No.1, 63-69, 2016

症例報告

長期生存を得ている13トリソミーの1例

1)仙台赤十字病院 小児科,2)同 小児外科,3)宮城県立こども病院 小児外科,4)東北大学 小児科

田中 佳子1)  永野千代子1)  遠藤 尚文2,3)
浅田 洋司1)  安藤  亮2)  小澤 恭子1)
菅原 典子1)  飯塚 千恵1)  千葉 圭悟1)
田中総一郎4)  笹原 洋二4)

A Long Survival Case of 13 Trisomy

1)Department of Pediatrics, 2)Department of Pediatric Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital ,
3)Department of Pediatric Surgery, Miyagi Children’s Hospital,
4)Department of Pediatrics, Tohoku University School of Medicine

Yoshiko TANAKA1), Chiyoko NAGANO1), Naobumi ENDO2,3), Hiroshi ASADA1),
Ryo ANDO2), Kyoko OZAWA1), Noriko SUGAWARA1) Chie IIZUKA1), Keigo CHIBA1),
Soichiro TANAKA4) and Yoji SASAHARA4)

要旨

13トリソミーの児の生命予後は極めて悪いことが知られるが,我々は,数々の生命危機に直面する度に家族と話し合いを重ねながら家族の意思を尊重した治療を選択し,15歳となった今日も在宅支援を続けている一例を経験している.その過程で我々は,本来生命予後不良とされた児においても,乳幼児期の生命危機を乗り越えた先には長期生存の可能性があること,また,その児に見合った精神運動発達も得られることを経験した.思春期になった児は現在,喉頭気管分離下に,独自に工夫した夜間睡眠時陽圧換気療法を行っており,新たに出現した免疫機能障害に伴う難治性皮膚感染症に対しても治療を要しているが,在宅で家族と共に過ごしている.予後不良とされる疾患を持つ児の治療方針の決定に際しては,家族との丁寧な話し合いが重要である.


Key words;13トリソミー,長期生存,カニューレフリー,免疫能低下,在宅医療