仙台赤十字病医誌　Vol.25, No.1, 53-57, 2016

症例報告

真菌感染症も疑われ，気胸を合併した器質化肺炎の1例

仙台赤十字病院　呼吸器内科

小野　祥直　　三木　　誠　　清水川　稔
井上　大輔　　徐　　東傑

A Case of Organizing Pneumonia Complicated with Pneumothorax,
Which Was Diagnosed after Ruling out of a Fungal Infectious Disease

Department of Pulmonary and Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yoshinao ONO, Makoto MIKI, Minoru SHIMIZUKAWA, Daisuke INOUE and Touketsu JO

要旨

症例は41歳男性．発熱を主訴に来院し，胸部単純CTにて左肺S1+2に浸潤影を認め，精査・加療のため入院となった．
　1年前に細菌性肺炎の既往があり，今回も当初細菌性肺炎が疑われた．近医で抗菌薬（ガレノキサシン）による投薬治療を受けていたが，改善を認めていなかったため，メロペネムにて治療が開始となった．
　一般抗菌薬にて改善を認めず，血液検査上β-Dグルカンの軽度高値を認め，真菌感染症を疑い，ボリコナゾールを投与した．ボリコナゾール開始後も陰影，炎症反応の改善を認めなかったため，第16病日に気管支鏡検査を施行し，経気管支肺生検（transbronchial lung biopsy:TBLB）を行った．病理組織診にて器質化病巣を認め，器質化肺炎（organization pneumonia:OP）の診断が確定した．右気胸が合併していたため，気胸の改善を待ち，第31病日よりプレドニゾロン20mg/日による治療を開始したところ，左上肺野の浸潤影改善を認め，炎症反応の改善を認めた．

Key words:器質化肺炎，気胸，深在性真菌感染症，β-Dグルカン