仙台赤十字病医誌　Vol.25, No.1, 49-52, 2016

症例報告

難治性腸管型ベーチェット病でアダリムマブにスイッチ療法し寛解導入維持しえている1例

仙台赤十字病院　健診センター

山下　和良　　伊藤こず恵　　佐藤　清美
本郷　長志　　大森　貴弘

Successful Switching Therapy from Infliximab to Adalimumab
for Intractable Gastrointestinal Behcet Disease:A Case Report

Department of Health Administration, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kazuyoshi YAMASHITA, Kozue ITO, Kiyomi SATO, Choushi HONGO and Takahiro OOMORI

要旨

腸管型ベーチェット病に対して，インフリキシマブからアダリムマブにスイッチ療法したところ，寛解導入し維持している症例を経験したので報告する．
　症例は40歳，男性．29歳時に難治性口腔内アフタで当院受診し，腸管型ベーチェット病と診断され，プレドニゾロンによる治療を開始した．34歳時からインフリキシマブ5 mg/kgの併用を開始したが，35歳時に1回目の回盲部切除となった．その後もインフリキシマブを継続したが，症状，検査所見ともに改善にまで至らなかった．39歳時，突然激しい腹痛が出現し，腸管穿孔の診断にて，2度目の吻合部切除を行い，術後にアダリムマブにスイッチしたところ，腹部症状は消失した．CRPも陰性化し，約2年間，寛解を維持している．インフリキシマブはマウスとヒトのキメラ抗体であるのに対し，アダリムマブはヒト型のために中和抗体ができにくく，有効であった可能性が考えられた．

Key words:腸管型ベーチェット病，アダリムマブ