仙台赤十字病医誌　Vol.25, No.1, 21-26, 2016

原著

フィン付き髄内釘を使用した距腿・距踵関節固定術の治療成績

仙台赤十字病院　整形外科

坂本　　敬　　山田　則一　　大泉　　樹
小池　洋一　　大沼　正宏　　大山　正瑞
北　　　純

Clinical Results of Tibiotalocalcaneal Arthrodesis Using an Intramedullary Nail with Fins

Department of Orthopaedic Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takashi SAKAMOTO, Norikazu YAMADA, Itsuki OOIZUMI, Youichi KOIKE,
Masahiro OONUMA, Masamizu OOYAMA and Atsushi KITA

要旨

高度な変形を伴う後足部変形に対してフィン付き髄内釘を使用して距腿・距踵関節固定術を行い，術後2年以上（平均63ヵ月）経過した15例15足について術後成績を検討した．日本足の外科学会―足関節・後足部判定基準（以下JSSF scale）による評価で術前平均20.9点から最終観察時平均68.5点に改善した．15足中14足にて距腿および距踵関節の一時的骨癒合を得た．1足では距踵関節が偽関節となり再手術により骨癒合を得た．平均骨癒合期間は4.7ヵ月であった．隣接関節への変化としては距舟関節および踵立方関節において，各々2足ずつ関節症性変化の発生を認め，髄内釘遠位部の踵骨内にradiolucent zoneを5足で認めた．フィン付き髄内釘による距腿・距踵関節固定術は良好な成績であったが，骨脆弱性を有する高齢者においては髄内釘遠位での踵骨との固定性が低く，ゆるみが生じやすいので距踵関節の固定には注意を要する．

Key words:フィン付き髄内釘，距腿・距踵関節固定術，高齢者