仙台赤十字病医誌　Vol.25, No.1, 15-19, 2016

原著

宮城県および東北地方における血液供給量の推移

宮城県赤十字血液センター

中川　国利　　澤村　佳宏　　七島　浩貴
新林佐知子　　國井　節子　　伊藤　　幸
伊藤　　孝

Blood Supply in Miyagi Prefecture and Tohoku Region

Japanese Red Cross Miyagi Blood Center

Kunitoshi NAKAGAWA, Yoshihiro SAWAMURA, Hirotaka SHICHISHIMA,
Sachiko NIIBAYASHI, Setsuko KUNII, Miyuki ITOU and Takashi ITOU

要旨

急性期疾患患者の高度急性期病院への集約に伴う，宮城県および東北地方における血液供給量の推移を検討した．方法は平成5〜26年度の過去22年間にわたる宮城県および東北地方における血液供給量の推移を，製剤別および病院ごとに検討した．血液製剤別供給量の推移は，宮城県および東北地方共に赤血球はほぼ一定，血漿は6割に減少，血小板は1.6倍に増加した．また血液供給施設数は漸減し，とくに年間供給量が血液製剤100単位未満の施設数の減少が著明であった．一方，東北6県における血液供給量が多い上位病院への血液供給量は全ての血液製剤において漸増し，さらに各県の総供給量に占める割合も漸増した．血液供給は全国と同様に東北地方においても高度急性期病院への集約化が顕著となりつつあり，赤十字血液センターとしては従来の画一的な供給体制から需要に応じた供給体制を速やかに構築する必要がある．

Key words:血液供給量，輸血，高度急性期病院，東北地方，宮城県赤十字血液センター