仙台赤十字病医誌　Vol.24, No.1, 93-97, 2015

症例報告

壊死性腸炎後に消化管機能障害をきたした1例

仙台赤十字病院　小児外科，＊仙台市立病院　小児科

安藤　　亮　　千葉　洋夫＊　　遠藤　尚文

A Case of Intestinal Dismotility Secondary to Necrotizing Entercolitis

Department of Pediatric Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital, ＊Division of Pediatrics, Sendai City Hospital

Ryo ANDO, Hiroo CHIBA＊ and Naobumi ENDO

要旨

症例は男児．切迫早産，前期破水のため在胎24週0日，体重597 gで出生した．日齢4から経腸栄養（enteral nutrition:以下EN）を開始し，日齢17に腸管の拡張および腹部膨満が出現した．日齢20に腹腔内遊離ガス像を認め，壊死性腸炎の診断で腹腔ドレナージを施行し，日齢25に回腸瘻を造設した．日齢98に回腸瘻閉鎖術を施行した．術後はENと静脈栄養（parental nutrition:以下PN）を併用し，徐々にENを増量した．1歳2カ月時にPNを一度終了したが，消化管運動障害のためENを増量できずに体重増加が得られなかったため，1歳6カ月時にPNを再開した．PN再開後は順調に体重が増加し，2歳0カ月時にPNを終了したが，2歳3カ月の現在まで安定して体重は増加している．
　壊死性腸炎術後の患児に対しては短腸症候群や器質的狭窄がない場合にも，腸管運動障害が存在する可能性に留意し，患児の健全な成長を損なわないように適切な栄養管理を行う必要がある．

Key words:necrotizing enterocolitis, intestinal dysmotility, intestinal failure