仙台赤十字病医誌 Vol.24, No.1, 81-85, 2015

症例報告

呼吸器症状に乏しく,conventional CTでは典型的なびまん性小粒状陰影を認めなかった粟粒結核の1例

仙台赤十字病院 呼吸器内科

小野口 亮  三木  誠  清水川 稔
井上 大輔  高橋 秀徳

A Case of Miliary Tuberculosis without Typical Diffuse Small Modular Shadows on Conventional CT

Department of Pulmonary and Respiratory Medicine, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Ryo ONOGUCHI, Makoto MIKI, Minoru SHIMIZUKAWA, Daisuke INOUE and Hidenori TAKAHASHI

要旨

呼吸器症状に乏しく,conventional CTでは典型的なびまん性小粒状陰影を認めなかった粟粒結核の1例を経験したので報告する.症例は83歳の女性で,糖尿病の内服加療中であった.発熱,食欲不振,全身倦怠感を呈し,原因精査と加療のために入院となった.
 胸部HRCT所見から血行性に病巣が播種している粟粒結核が疑われた.尿塗抹抗酸菌染色で陽性となり結核の可能性が高いと判断し,さらに胃液,尿PCR法を行い,陽性所見から結核と確定診断した.INH 300mg,RFP 450mg,EB 750mg内服で治療を開始した.途中,全身状態が悪化して内服困難となった時は,INH静注,LVFX点滴に切り替えた.呼吸状態悪化にはmPSL点滴で対応した.その後,全身状態が改善し,喀痰検査にて3回の抗酸菌陰性を認めたので第31日目に退院となった.外来経過観察を継続し,退院後約1年6ヶ月現在再発は認めていない.


Key words:粟粒結核,インターフェロンγ刺激試験(ELISPOT),抗酸菌染色,PCR法,HRCT