仙台赤十字病医誌 Vol.22, No.1, 67-70, 2013

症例報告

腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した胆嚢捻転症の1例

仙台赤十字病院 外科

高舘 達之  中川 国利  橋本 知実
鈴木 秀幸  深町  伸  小林 照忠
鈴木 幸正

A Case of Gallbladder Volvulus Treated by Laparoscopic Cholecystectomy

Department oF SURGERY, Japanese RED CROSS SENDAI HOSPITAL

Tatsuyuki Takadate, Kunitoshi Nakagawa, Tomomi Hashimoto, Hideyuki Suzuki, Shin Fukamachi, Terutada Kobayashi and Yukimasa Suzuki

要旨

症例は93歳の女性で,心窩部痛を主訴に来院した.心窩部に圧痛を認め,白血球数やCRPは著しい高値であった.また腹部CT検査では,胆嚢の腫大や壁の肥厚,さらに胆嚢結石を認めた.DIC-CT検査では,胆嚢は造影されなかった.以上から急性胆嚢炎と術前診断し,入院翌日に腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内を観察すると,胆嚢は暗赤色を呈して著明に腫大していた.また胆嚢床付着範囲は狭く,頸部で反時計回りに約360度捻転していた.胆嚢の捻転を整復後に,胆嚢を摘出した.病理組織検査では,胆嚢壁は全層にわたり出血性壊死を呈していた.術後経過は良好で,術後4日目に退院した.胆嚢捻転症の術前診断はいまだ困難であるが,確定診断から治療まで連続して行える腹腔鏡下手術は大変有用であった.また胆嚢捻転症では周囲との癒着は少なく,腹腔鏡下胆嚢摘出術のよい適応と考えられた.


Key words:胆嚢捻転症,腹腔鏡下胆嚢摘出術,急性胆嚢炎