仙台赤十字病医誌　Vol.22, No.1, 59-66, 2013

原著

東日本大震災後のNICU非常電源と医療ガスの対応

仙台赤十字病院　臨床工学技術課ME室，＊総合周産期母子医療センター NICU

三好　誠吾　　齋藤　雄亮　　川村　啓子＊
山田　雅明＊

Correspondence of an Emergency Power Supply and the Medical Gas in the NICU after the Great East Japan Earthquake

Department of Clinical Engineering, Department of Neonatal Intensive Care Unit, ＊Perinatal Medical Center,Japanese Red Cross Sendai Hospital

Seigo MIYOSHI, Yusuke SAITO, Keiko KAWAMURA＊ and Masaaki YAMADA＊

要旨

当院のNICUでは医療ガスと電源が供給不能となった場合に備え，酸素・空気ボンベ，エアーコンプレッサーとポータブル発電機が用意されていた．しかし東日本大震災時には �@ ボンベの配置場所がNICUから遠く，迅速に使用することができなかった，�A ボンベ，エアーコンプレッサーやポータブル発電機の使用手順を知らず使えないスタッフが多かった，�B エアーコンプレッサーの定期的な動作確認をほとんど行っておらず，緊急時の使用中に停止する可能性があった，�C ポータブル発電機の定格出力は人工呼吸器分のみが対象で，保育器など他の医療機器の消費電力分は確保できていなかった．以上 �@〜�C の弱点が見られたので，震災後に改めて不足している装備等の見直しを行った．�@ についてはNICUの隣室に一次対応のボンベを設置，�A は勉強会を実施，�B は現在整備を検討中，�C に対してはNICUと分娩室に新たな非常用発電設備の設置が行われた．

Key words:医療ガス，非常電源，備蓄，災害，人工呼吸器の駆動源