仙台赤十字病医誌　Vol.22, No.1, 45-50, 2013

原著

腹腔鏡下手術を施行した結腸膀胱瘻症例の検討

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　橋本　知実　　鈴木　秀幸
高舘　達之　　深町　　伸　　小林　照忠
鈴木　幸正

Clinical Study of Colovesical Fistulas Treated Laparoscopically

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Tomomi HASHIMOTO, Hideyuki SUZUKI, Tatsuyuki TAKADATE, Shin FUKAMACHI, Terutada KOBAYASHI and Yukimasa SUZUKI

要旨

S状結腸憩室炎に起因した稀な結腸膀胱瘻症例に対して，腹腔鏡下手術を施行したので報告する．対象は男性3例，女性1例の計4例で，年齢は平均68.8歳であった．主訴はいずれも糞尿・気尿で，病悩期間は2か月以内であった．術前検査ではいずれも尿検査で細菌を検出し，大腸内視鏡検査や注腸造影検査ではS状結腸に多発性憩室を認めた．またCT検査では膀胱内に空気を全例で認めた．以上から，S状結腸憩室炎に起因した結腸膀胱瘻と全例で術前診断した．手術は著明な癒着を認めた1例では開腹移行したが，他の3例では腹腔鏡下にS状結腸を膀胱から鋭的に切離して切除した．なお術中偶発症は特に生じなかったが，術後に創感染2例を認めた．結腸膀胱瘻は糞尿や気尿が特異的な主訴であり，CT検査などにより術前診断は容易であった．また結腸膀胱瘻に対する腹腔鏡下手術は有用であり，安全に施行できた．

Key words:結腸憩室症，結腸憩室炎，結腸膀胱瘻，腹腔鏡下手術