仙台赤十字病医誌　Vol.22, No.1, 41-43, 2013

原著

便中ラクトフェリン測定の有用性についての検討

仙台赤十字病院　健診部　

山下　和良　　永井恵理子　　佐藤　郁子
浅沼　有加　　小島　光恵　　進藤　真実
佐藤　清美　　鈴木　道子　　佐々木郁子
志賀　清子

The Usefulness of Fecal Lactoferrin Test

Department of Health Administration, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kazuyoshi YAMASHITA, Eriko NAGAI, Ikuko SATO, Yuka ASANUMA, Mitsue KOJIMA, Mami SHINDO, Kiyomi SATO, Michiko SUZUKI, Ikuko SASAKI and Kiyoko SHIGA

要旨

現在実施している免疫便潜血検査ヘモグロビン（Hb）とトランスフェリン（Tf）に加えて，血便を伴わない下部消化管疾患を検出する目的で，炎症時に放出される便中のラクトフェリン（Lf）を便中Hb，Tfと同時に測定し，その有用性を検討した．2011年6月から2012年6月までの，了解を得た検診受診者2,012名の測定結果の分析と大腸内視鏡検査での結果の分析を行った．便中（Lf）の陽性率は17.2%と高かったが，大腸がん2名を含む64名の有所見者を発見した．今後，カットオフ値の検討と適正な使用を工夫すれば，大腸がんスクリーニングへの応用が可能と考えられる．

Key words:便中ラクトフェリン，便中ヘモグロビン，便中トランスフェリン