仙台赤十字病医誌　Vol.22, No.1, 27-31, 2013

原著

皮膚子宮内膜症症例の検討

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　橋本　知実　　鈴木　秀幸
高舘　達之　　深町　　伸　　小林　照忠
鈴木　幸正

Analysis of the Cutaneous Endometriosis

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Tomomi HASHIMOTO, Hideyuki SUZUKI, Tatsuyuki TAKADATE, Shin FUKAMACHI, Terutada KOBAYASHI and Yukimasa SUZUKI

要旨

稀な疾患である皮膚子宮内膜症6例を経験したので，臨床的検討を行った．発症部位は，臍部，腹壁，鼠径部が各2例であった．年齢は平均37.3歳で，主訴はいずれも皮下結節で，内4例では月経に随伴して疼痛を認めた．また腹壁子宮内膜症2例では胃切除術および帝王切開術の開腹既往歴を有していた．画像検査では，境界不明瞭で内部が不均一な結節を認めた．臨床症状などからいずれも子宮内膜症を強く疑ったが，確定診断がつかずに切除術を施行した．なお最近の症例では，腹腔鏡検査も同時に施行した．病理学的検討では，いずれも子宮内膜に類似した腺様構造と間質成分を認め，子宮内膜症と確定診断された．生殖可能な女性における腹壁や鼠径部の皮下結節では，稀ながら皮膚子宮内膜症があり，月経との関連を詳細に問診する必要がある．また腹腔鏡検査は他疾患との鑑別や骨盤内の観察に大変有用であった．

Key words:皮膚子宮内膜症，臍部子宮内膜症，腹壁子宮内膜症，鼠径部子宮内膜症，腹腔鏡検査