仙台赤十字病医誌　Vol.22, No.1, 19-25, 2013

原著

胆嚢摘出既往例に対する腹腔鏡下総胆管切石術

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　橋本　知実　　鈴木　秀幸
高館　達之　　深町　　伸　　小林　照忠
鈴木　幸正

Laparoscopic Choledocholithotomy in Patients with Previous Cholecystectomy

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Tomomi HASHIMOTO, Hideyuki SUZUKI, Tatsuyuki TAKADATE, Shin FUKAMACHI, Terutada KOBAYASHI and Yukimasa SUZUKI

要旨

胆嚢摘出後の腹腔鏡下総胆管切石術施行症例10例を対象として，臨床的検討を行った．開腹既往歴は幽門側胃切除5例，腹腔鏡下および開腹下胆嚢摘出各3例，腹腔鏡下総胆管切石2例で，胃切除5例中2例および腹腔鏡下総胆管切石2例では胆嚢摘出も同時に受けていた．手術は小開腹下に最初のトロカールを挿入し，癒着のない他の3箇所にトロカールを穿刺した．電気メスや超音波凝固切開装置を用いて癒着を剥離し，総胆管を露出した．総胆管を切開し，胆道鏡下に結石を摘出した．術中偶発症は特になく，癒着剥離困難で開腹移行したのは2例であった．術後合併症は腹腔内膿瘍1例で，保存的療法により治癒した．また遺残結石を認めた2例では，胆道鏡を用いて摘出した．胆嚢摘出後の総胆管結石例に対しては内視鏡的総胆管切石術が第一選択であるが，施行できない場合には低侵襲の腹腔鏡下総胆管切石術を試みる意義がある．

Key words:胆嚢摘出既往，総胆管結石症，腹腔鏡下総胆管切石術，内視鏡的総胆管切石術