仙台赤十字病医誌　Vol.21, No.1, 39-42, 2012

症例報告

遅発性感染によるメッシュ摘出後に鼠径ヘルニア再発を来した1例

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　月館　久勝　　深町　　伸
小川　　仁　　小林　照忠　　遠藤　公人
鈴木　幸正

A Case of Recurrent Inguinal Hernia Following Removal of the Late Infected Mesh

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Hisakatsu TSUKIDATE, Shin FUKAMACHI, Hitoshi OGAWA, Terutada KOBAYASHIスお, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

遅発性感染によるメッシュ摘出後に，鼠径ヘルニア再発を来した症例を経験したので報告する。症例は75歳の男性で，左外鼠径ヘルニアにてMesh Plug（以下MP）を用いたヘルニア修復術を施行した。手術7年10ヵ月後に左鼠径部に膿瘍が生じたため，2ヵ月間にわたり保存的治療を行った。しかし，感染が治癒しないためMPを摘出した。なお鼠径管の後壁補強などのヘルニア修復術は行わなかった。MP摘出術4年3ヵ月後にヘルニア再発を認めたため，腹腔鏡観察下にBassini法によるヘルニア修復術を施行した。ヘルニア修復術後6ヵ月が経過したが，創感染やヘルニア再発は認めていない。鼠径ヘルニア修復後の遅発性感染例では，感染源であるメッシュの摘出が必要である。また摘出後には稀ながらヘルニア再発を来すことがあり，症例に応じたヘルニア修復術を行う必要がある。

Key words: 鼠径ヘルニア，メッシュ感染，再発鼠径ヘルニア，鼠径ヘルニア修復術