仙台赤十字病医誌 Vol.21, No.1, 23-25, 2012

原著

先端を柔らかくした硬膜外カテーテルは迷入しにくいか

仙台赤十字病院 麻酔科

石井  仁  千葉 聡子  鈴木 堅悟
高橋  徹  嶋   武

Is Epidural Catheter with Softer Tip Less Likely to Migrate Out of Epidural Space?

Department of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hitoshi ISHII, Satoko CHIBA, Kengo SUZUKI, Tohru TAKAHASHI and Takeshi SHIIMA

要旨

先端の硬さが異なる2種類の硬膜外カテーテルを用いて,硬さの違いがカテーテルの位置異常に影響するか否かを硬膜外カテーテル造影により検討した。対象を2群に分け,片方には通常使用している八光社製17ゲージ硬膜外カテーテル,他方には先端から5mmが柔らかいペリフィックス社製ソフトチップカテーテルを挿入した。カテーテル挿入後,造影により位置異常の有無を判定した。位置異常と判定したのは血管内迷入,硬膜下腔迷入,くも膜下腔迷入,椎間孔からの逸脱の症例であった。カテーテルの位置異常が発生した確率は血管内迷入ではそれぞれ1.4,3.3%,硬膜下腔迷入で8.6,9.5%,くも膜下腔迷入で0.5,0.5%,椎間孔からの逸脱で5.2,4.8%と2種類のカテーテル間で有意差が認められなかった。硬膜外カテーテルの位置異常に影響する因子はカテーテル先端の硬さ以外にもカテーテル自体の太さや先端部の形状など複数あることが考えられた。


Key words: 硬膜外カテーテル,血管内迷入,くも膜下腔迷入,硬膜下腔迷入,椎間孔からの逸脱