仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 81-84, 2011

症例報告

Caroli病の1例

仙台赤十字病院 外科

鹿股利一郎　　中川　国利　　月館　久勝
高橋　祐輔　　深町　　伸　　塚本　信和
小林　照忠　　遠藤　公人　　鈴木　幸正

A case of Caroli’s Disease

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Riichiro KANOMATA, Kunitoshi NAKAGAWA, Hisakatsu TSUKIDATE, Yusuke TAKAHASHI,
Shin FUKAMACHI, Nobukazu TSUKAMOTO, Terutada KOBAYASHI, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

腹腔鏡下胆嚢摘出時に判明したCaroli病症例を経験したので報告する。症例は46歳の女性で，右季肋部痛を主訴に近医を受診した。胆嚢結石と肝内胆管拡張を指摘され，当院を紹介された。腹部超音波検査で胆嚢結石と肝内胆管拡張を認めた。またMRI検査やDIC-CT検査で，両葉に肝内胆管の多発性嚢胞状拡張を認めた。以上の画像検査から，Caroli病を伴う胆嚢結石症と診断し，腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。なお腹腔鏡下に観察すると肝表面に樹枝状の白色紋理を認め，肝線維症が疑われた。摘出した胆嚢の病理組織検査では，慢性胆嚢炎の所見を呈していた。術後経過は良好で，術後6ヶ月現在，特に症状はなく外来で経過観察中である。Caroli病は先天的に肝内胆管が多発性嚢胞状に拡張した稀な疾患で肝線維症を併発し，また胆管炎や肝内結石症を合併する例が多い。したがって慎重なる経過観察が必要である。

Key words:Caroli病，肝線維症，胆嚢結石症