仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 71-75, 2011

症例報告

クリップ迷入による総胆管結石症の1例

仙台赤十字病院 外科

深町　　伸　　　中川　国利　　　月館　久勝
高橋　祐輔　　　塚本　信和　　　小林　照忠
遠藤　公人　　　鈴木　幸正

A Case of Choledocholithiasis due to Migrated Metal Clips

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Shin FUKAMACHI, Kunitoshi NAKAGAWA, Hisakatsu TSUKIDATE, Yusuke TAKAHASHI,
Nobukazu TSUKAMOTO, Terutada KOBAYASHI, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

腹腔鏡下総胆管切石術後に，迷入したクリップを核とした総胆管結石再発例を経験したので報告する。症例は関節リウマチを有する54歳の女性で，三管合流部に結石が存在した急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下総胆管切石術を施行した。手術7ヵ月後にクリップを核とした総胆管結石を認めたため，再度の腹腔鏡下総胆管切石術を施行した。再手術6ヵ月後に再びクリップを核とした総胆管結石を認めたため，内視鏡的乳頭切開術を施行した。内視鏡的治療により，総胆管に存在したクリップは消化管内に排出した。腹腔鏡下に行う胆嚢摘出術や総胆管切石術では，稀ながらクリップを核とした総胆管結石症を発症する危険性がある。しがってクリップの使用はできるだけ控える必要がある。

Key words:腹腔鏡下総胆管切石術，腹腔鏡下胆嚢摘出術，総胆管結石症，クリップ迷入，内視鏡的乳頭切開術