仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 67-70, 2011

症例報告

硬膜外ロピバカインによる局所麻酔薬中毒の1例

仙台赤十字病院 麻酔科

嶋   武  佐藤千穂子  佐々木繁美  石井  仁

Seizure Induced by Epidural Ropivacaine

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takeshi SHIMA, Chihoko SATO, Shigeyoshi SASAKI and Hitoshi ISHII

要旨

硬膜外腔に注入されたことが明らかなロピバカインによる局所麻酔薬中毒症例を経験した。症例は帝王切開術の33歳女性で,脊髄くも膜下硬膜外併用麻酔下,15分間に1%ロピバカイン20 ml(200 mg)を硬膜外カテーテルより注入した。術後硬膜外カテーテル造影にて硬膜外腔にカテーテル先端が存在していることを確認した。ロピバカインの最終投与から23分後に全身痙攣を来たした。痙攣発症から56分後の静脈血中ロピバカイン濃度は1.92 μg/mlで,ロピバカインによる局所麻酔薬中毒と思われた。ロピバカインの硬膜外腔投与による局所麻酔薬中毒の特徴は,静脈内投与例より発症がかなり遅れ,症状が長時間持続することと思われた。また,ロピバカインを200 mg以上投与することは控えるべきと考えられた。


Key words:硬膜外麻酔,ロピバカイン,局所麻酔薬中毒