仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 55-59, 2011

原著

成人Meckel憩室に対する手術症例の検討

仙台赤十字病院 外科

中川　国利　　月館　久勝　　高橋　祐輔
深町　　伸　　塚本　信和　　小林　照忠
遠藤　公人　　鈴木 幸正

A Study of Surgical Cases of Meckel’s Diverticulum in Adult

Department of Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Hisakatsu TSUKIDATE, Yusuke TAKAHASHI, Shin FUKAMACHI,
Nobukazu TSUKAMOTO, Terutada KOBAYASHI, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

過去10年間に手術を施行した成人のMeckel憩室症例10例に対して，臨床的検討を行ったので報告する。年齢は平均50.5歳で，男性7例，女性3例であった。Meckel憩室による合併症で緊急手術を施行した症例は5例で，主訴はいずれも腹痛であった。術前診断は絞扼性イレウス3例，および消化管穿孔による腹膜炎，憩室炎が各1例であった。術中に絞扼性イレウスを認めた3例では，憩室を含む小腸切除術を施行した。また憩室穿孔例および膿瘍を伴う憩室炎例では自動縫合器を用いて憩室を切除した。他疾患の開腹時に偶然に発見されたMeckel憩室症例5例では，内4例は自動縫合器を用いて憩室を切除し，他の1例は憩室切除部を手縫い縫合した。術後の合併症は創感染1例のみで，術後経過は良好であった。Meckel憩室による合併症は成人でも生じることがあり，開腹時に偶然発見された2 cm以上の憩室は切除すべきである。

Key words:Meckel憩室，絞扼性イレウス，憩室炎，腹腔鏡下手術