仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 17-23, 2011

総 説

変形性股関節症の治療

仙台赤十字病院 整形外科

大山　正瑞

Treatment of Osteoarthrosis

Department of Orthopaedic Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Masamizu OYAMA

要旨

変形性股関節症に対する治療は，その病態や病期の進行度あるいは年齢，社会的背景を考慮して決定すべきである。原則的にはまずは保存的に運動療法，物理療法，装具療法，薬物療法などを行うが，保存療法に抵抗する症例では，手術的治療を考慮する。
　若・壮年期層で前関節症，初期，進行期の一部に対してはできる限り関節温存手術を選択する。近年は，臼蓋形成不全に対し，生理的な軟骨を有する骨片で骨頭を被覆する寛骨臼回転骨切り術がより選択される傾向にある。
　一方，壮・高年期層の関節裂隙が狭小化または消失した進行期，末期に対しては人工股関節置換術を選択することが多い。長期的に良好な治療成績を得るには，厳格な手術適応を定め，的確な手術を行うことが重要である。

Key words:股関節，変形性股関節症，保存的治療，関節温存手術，人工股関節置換術