仙台赤十字病医誌 Vol.20, No.1, 3-6, 2011

論 説

ストレス学説をめぐる私的回顧

東北大学名誉教授

笹野　伸昭

Personal Review on the Study of Stress

Professor Emeritus, Tohoku University

Nobuaki SASANO

要旨

筆者の60余年にわたる病理医生活のうち，当初の研究であった実験的熱射病における副腎皮質の役割と人体副腎の胎児期発育分化過程を省みた。当時は第二次世界大戦直後であったので副腎研究は病理解剖による形態学的観察のみであった。今日の臨床研究では副腎の機能病理学的解析が進歩しており，局所の血中ホルモンと副腎形態との照合が行われている。その解析が胎児新生児期にも及ぶよう更なる進歩発展を期待したい。

Key words:ストレス，熱射病，副腎発育分化