仙台赤十字病医誌 Vol.19， No.1， 79-82， 2010

臨床研究

サーモクロンによる肩表面温度の計測
──健常者におこる経時的温度変化──

仙台赤十字病院　整形外科

小池　洋一　　今村　　格　　後藤　昌子
大山　正瑞　　北　　　純

Changes with Time in Skin Temperature of the Shoulders in a Healthy Group

Department of Orthopaedics, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yoichi KOIKE, Itaru IMAMURA, Masako GOTO, Masamizu OOYAMA and Atushi KITA

要旨

サーモクロンを用いて，健常群（10例20肢，男4例，女6例，平均54歳）の肩表面温度を経時的に測定した。夜22時頃から，両肩で表面温度の低下が観察され，2時から4時にかけて一時的に体温上昇が起こったが，再び朝6時頃まで低下が続いた。計測期間中，肩表面温度に左右差が観察され，その差は最大0.7℃に達した。しかし，表面温度の下降，上昇のリズムは両肩で類似し，統計学的有意差はなかった （利き手側 34.4±0.8℃，非利き手側 34.4±0.9℃（平均値±標準偏差） p=0.28>0.05）。本研究で得られた結果は，様々な骨関節疾患に対し温度計測を施行する際の対照データとして有用である。

Key words:体表温度（skin temperature），肩関節（shoulder joint），日内変動（circadian rhythm） ， サーモクロン（thermocron）