仙台赤十字病医誌 Vol.19, No.1, 75-78, 2010

臨床研究

当院健診センターにおける便中トランスフェリン測定の有用性についての検討

仙台赤十字病院 健診部

山下 和良  佐藤 位江  永井恵理子  佐藤 郁子
高橋 広美  太田 晴子  志賀 清子

The Usefulness of Fecal Transferring Test

Department of Health Administration, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kazuyoshi YAMASHITA, Takae SATO, Eriko NAGAI, Ikuko SATO,
Hiromi TAKAHASHI, Haruko OOTA and Kiyoko SHIGA

要旨

現在広く実施されている免疫便潜血検査の偽陰性による疾患の見落しを防ぐ目的で,便中ヘモグロビンと便中トランスフェリンを同時に測定し,その有用性を検討した。2007年12月より2009年10月までの受診者3,786名の測定結果の分析と2次精密検査での臨床結果の分析を行った。ヘモグロビン陽性率6.2%,トランスフェリン陽性率6.5%と陽性率の差は少なく,その測定値を図1,図2に示した。その図において両成分間に相関性はなく解離がみられた。2次精密検査の結果からトランスフェリンのみ陽性者の中に直腸がん1名含む12名の有所見者を発見した。
 便中トランスフェリンとヘモグロビンを測定することでより感度の高い健診を実施することが可能であると考えられる。


Key words:便潜血検査,便中トランスフェリン