仙台赤十字病医誌 Vol.19, No.1, 59-63, 2010

症例報告

中腸軸捻転を伴った腸回転異常症で急性循環不全を呈した1例

仙台赤十字病院　総合周産期母子医療センターNICU，^*小児外科

守谷　充司　　高橋　立子　　小野寺幸子　　三条　雅敏
千葉　洋夫　　山田　雅明　　中村　　潤^*　　遠藤　尚文^*

A Case of Malrotation of Intestine with Midgut Volvulus and Acute Hypovolemic Shock

Department of Neonatal Intensive Care Unit, Perinatal Medical Center,
＊Department of Pediatric Surgery, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Mitsuji MORIYA, Ritsuko TAKAHASHI, Sachiko ONODERA, Masatoshi SANJO,
Hiroo CHIBA, Masaaki YAMADA, Megumi NAKAMURA^* and Naobumi ENDO^*

要旨

症例は，在胎38週4日，出生体重3,164gの男児。生後18時間に胆汁性嘔吐で発症し，その後，血便，顔色不良，多呼吸を呈しhypovolemic shockとなり，急速輸液，大量輸血，昇圧剤投与を行った。消化管造影検査にて中腸軸捻転を伴った腸回転異常症と診断し，緊急開腹術を行った。完全壊死部のみ切除し，16時間後にsecond lookで壊死小腸約7cmを追加切除し，術後は循環動態が安定した。腸回転異常症は新生児期に発症し，中腸軸捻転を合併することがある。発見が遅れたために広範囲の腸管壊死，敗血症などによる死亡例も報告されている。新生児期に胆汁性嘔吐，血便を認める場合には，中腸軸捻転を伴う腸回転異常症を常に念頭に置き，迅速な対応が必要である。

Key words:中腸軸捻転，腸回転異常症，second look operation，急性循環不全，新生児