仙台赤十字病医誌 Vol.19， No.1， 51-54， 2010

症例報告

総胆管過形成性ポリープの1例

仙台赤十字病院　外科

中川　国利　　小村　俊博　　深町　　伸　　塚本　信和
小林　照忠　　遠藤　公人　　鈴木　幸正

A Case of Hyperplastic Polyp of the Common Bile Duct

Department of Surgery， Japanese Red Cross Sendai Hospital

Kunitoshi NAKAGAWA, Toshihiro KOMURA, Shin FUKAMACHI, Nobukazu TUKAMOTO,
Terutada KOBAYASHI, Kojin ENDO and Yukimasa SUZUKI

要旨

まれな疾患である総胆管過形成性ポリープの1例を経験したので報告する。症例は44歳の男性で，右上腹部痛と黄疸を主訴として来院した。腹部超音波検査やMRCP検査で胆嚢結石症と術前診断し，腹腔鏡下手術を施行した。術中胆道造影検査で総胆管下部に陰影欠損像を認めたため，総胆管を切開して胆道鏡検査を行った。胆道鏡下の観察では総胆管下部に4×3mm大の腫瘤を認めたため，生検を施行した。また総胆管にTチューブを留置し，胆嚢を摘出した。病理組織検査で過形成性ポリープと診断されたため，Tチューブ留置部の瘻孔から胆道鏡下のポリペクトミーを試行した。しかし，胆道鏡挿入時にポリープが脱落し，十二指腸内に流失した。総胆管過形成性ポリープはまれな疾患であり，悪性疾患との鑑別診断が困難である。過大な手術侵襲を避けるためには，生検による病理組織学的検討を行うことが大切である。

Key words:総胆管過形成性ポリープ，腹腔鏡下総胆管切開術