仙台赤十字病医誌 Vol.19， No.1， 41-49， 2010

原著

当院における最近10年間の多胎分娩の検討

仙台赤十字病院　産婦人科

武山　陽一　　阿部　有香　　太田　恭子　　齋藤　美帆
田村　充利　　中里　浩樹　　鈴木　久也　　谷川原真吾

A Study of Multiple Delivery for 10 Years at Japanese Red Cross Sendai Hospital

Division of Obstetrics and Gynecology, Perinatal Medical Center, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Yoichi TAKEYAMA, Yuka ABE, Kyouko OHTA, Miho SAITOH, Mitsutoshi TAMURA,
Hiroki NAKASATO, Hisaya SUZUKI and Shingo TANIGAWARA

要旨

当院において1999年から2008年までの10年間に分娩した多胎症例544例につき検討した。
　当院における全分娩数は10年間で約20%増加し，多胎症例数は約2倍に増加していた。他施設から紹介される多胎症例は妊娠初期の紹介例が増えたが，紹介され即入院となる症例は減少した。入院，早産となる理由は子宮収縮や子宮頸管短縮・開大といった切迫早産兆候が多かった。妊娠28週以前からの入院，60日間以上の入院，28週以前の分娩といった例は10年間で変化がなく，症例数の増加は比較的軽症例の増加によるものと思われた。原則として多胎の分娩は帝王切開で行うこととしているが，帝王切開の準備が間に合わず経腟分娩となったものが5例あった。当日決定で帝王切開となる例が毎年1/4ないし1/3あり，妊娠中の管理に改善の余地があると思われた。

Key words:多胎妊娠，周産期管理，母体搬送，帝王切開