仙台赤十字病医誌 Vol.19， No.1， 37-40， 2010

原著

脊髄くも膜下麻酔の投与量と麻酔域:同一患者での検討

仙台赤十字病院　麻酔科

嶋　　　武　　千葉　聡子　　吾妻　俊弘
佐々木繁美　　石井　　仁

Individual Predictability of Repeated Spinal Analgesia with
Isobaric Lidocaine and Tetracaine

Division of Anesthesia， Japanese Red Cross Sendai Hospital

Takeshi SHIMA, Satoko CHIBA, Toshihiro WAGATSUMA, Shigeyoshi SASAKI and Hitoshi ISHII

要旨

同一患者で，穿刺部位も同じで，2%リドカイン加0.4%テトラカインを投与し，複数回行った脊髄くも膜下麻酔症例を抽出し，投与量と麻酔域を検討した。同量，0.2ml，0.4ml，0.6ml差投与群に分けて155例の無冷覚域を調べた。同量群では1回目と2回目の麻酔域は相関係数0.521でp < 0.0001と有意に相関したが，0.6ml差があっても差が0または±1分節を示す者が50%もあり，投与量と最高無冷覚域は全くばらばらであった。一般にいわれているように，等比重局所麻酔薬で麻酔域を予想することは同一人でも非常に難しいと思われた。

Key words:脊髄くも膜下麻酔，投与量と麻酔域，同一人検討