仙台赤十字病医誌 Vol.19, No.1, 3-6, 2010

論説

卵巣腫瘍の病理診断学
──Scully教授から学んだもの──

東北大学名誉教授

笹野 伸昭

Diagnostic Pathology of Ovarian Tumors Learned from Professor Scully

Professor Emeritus, Tohoku University

Nobuaki SASANO

要旨

著者は第二次大戦中に学校生活の大部分をすごし終戦と共に病理学教室に身をよせ,副腎皮質の発生から発育の過程の研究にはいった。同室の後輩が卵巣について同じ課程の研究を行っていたことが卵巣とのご縁の始まりであった。そして卵巣腫瘍に引かれたのは,1961-62年にRockefeller財団の援助によるボストン留学中にDr. Robert E. Scullyと親しくなり,その学問と人柄に魅力を感じてからのことである。本稿ではそのいきさつと米国での生活を回顧しながらささやかな論を進めた。今日の日本では外国からの留学生が多いが,それに対応するための参考になることを願っている。


Key words:卵巣腫瘍,WHO分類,性腺発生分化,Scully教授