仙台赤十字病医誌 Vol. 18, No. 1, 99-103, 2009

看護研究

人工股関節全置換術を受けた患者の退院時の
意思決定に関する要因調査

仙台赤十字病院 看護部(7階病棟,中央手術室*

平   瞳   松本 亜矢*

Examination about the Decision Making at the Time of the Discharge of
the Patients after Total Hip Arthroplasty

Orthopedic Ward, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Hitomi TAIRA and Aya MATSUMOTO

要旨

人工股関節全置換術(THA)を受けた患者が退院を決定するにあたり何を重要視しているかを明らかにし今後の退院調整に関する課題について検討することを目的とした。当院でTHAを受けた退院後の患者107名を対象にして,THAの知識,ADL・IADLとQOL,家族,住環境等37項目において郵送質問紙により調査した。退院を決める際に「脱臼肢位をとらずに生活することができる」「痛みなく生活することができる」など,日常生活の自立が重要視されていた。年代別では60歳未満が「車の運転をすることができる」を有意に重要視していると答えた。性別では女性は「調理をすることができる」「洗濯をすることができる」などを男性に対して有意に重要視していると答えた。疼痛なく日常生活を送ることは,年齢や性別を問わずTHAを受ける最大の目的であると言える。


Key words: 退院調整,退院決定因子,人工股関節全置換術後