仙台赤十字病医誌 Vol. 18, No. 1, 81-84, 2009

症例報告

尿閉をきたした好酸球性膀胱炎の1例

仙台赤十字病院 泌尿器科

佐々木光晴  太田 章三

A Case of Eosinophilic Cystitis Presenting with Urinary Retention

Department of Urology, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Mitsuharu SASAKI and Shozo OTA

要旨

56歳,男性。アレルギー疾患を含め特記すべき既往歴はない。平成19年9月に血尿と排尿困難を主訴に当科を受診した。尿閉状態で超音波検査では膀胱内に凝血塊を認めた。内視鏡検査で腫瘍性病変は認めず,膀胱粘膜の発赤のみ認めた。悪性の可能性も考慮し経尿道的生検を施行した。病理組織診断は好酸球性膀胱炎であった。退院後,平成20年4月に再び血尿と排尿困難が出現した。超音波検査,膀胱鏡検査はともに前回と同じ所見であった。経尿道的生検の病理組織診断も同じく好酸球性膀胱炎であった。退院後,抗ヒスタミン剤内服にて経過をみていたが,6ヵ月後に同様の症状を認めた。文献的には好酸球性膀胱炎は約3割に再発を認める。原因についても不明な点が多いため今後とも厳重に経過を診ていく予定である。


Key words: 好酸球性膀胱炎,尿閉