仙台赤十字病医誌 Vol. 18, No. 1, 75-79, 2009

症例報告

仙台赤十字病院での硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔穿刺による神経損傷

仙台赤十字病院 麻酔科

高橋  徹  嶋   武  千葉 聡子
石井  仁

Nerve injuries due to Punctures of Epidural and Spinal Anesthesia
in Japanese Red Cross Sendai Hospital

Division of Anesthesia, Japanese Red Cross Sendai Hospital

Toru TAKAHASHI, Takeshi SHIMA, Satoko CHIBA and Hitoshi ISHII

要旨

仙台赤十字病院で過去12年間に脊髄くも膜下麻酔(脊麻),硬膜外麻酔(硬麻)穿刺時,6例に穿刺針による神経損傷が発生した。発生率は脊麻で1例(0.01%),硬麻で5例(0.03%)であり,症状より脊髄損傷と考えられた。症状が2週間以上継続した症例は4例で,すべてくも膜下腔に局所麻酔薬が投与されていた。一方2週間以内に症状が消失した2例はすべてくも膜下腔に局所麻酔薬は投与されていなかった。6症例の分析により,脊麻・硬麻とも穿刺中にparesthesiaが発生し,その神経支配部位が穿刺部位に一致しない時で痛みを訴えたときはくも膜下腔に局所麻酔薬の投与を控えるべきと思われた。


Key words: 神経損傷,脊麻,硬膜外麻酔