仙台赤十字病医誌 Vol. 18, No. 1, 63-67, 2009

症例報告

初診時抗体検査で診断の確定が困難であった重症クラミジア肺炎の1例

仙台赤十字病院 腎血液内科・呼吸器内科

小池麻理子  山口 裕二  三木  誠

A Case of Severe Chlamydophila Peumoniae Pneumonia and the Problem
of Diagnosis with Serological Test of Chlamydophila

Department of Nephrology and Hematology Medicine, Department of Respiratory Medicine,
Japanese Red Cross Sendai Hospital

Mariko KOIKE, Yuji YAMAGUCHI and Makoto MIKI

要旨

症例は76歳男性。発熱と呼吸苦を主訴に当院を受診し,乾性咳嗽と右上肺野,左下肺野に浸潤影を認めたため入院。胸部CT上,右上葉と左下葉S6,S10 内側に気管支透亮像を伴うconsolidationを認めた。IPM/CS を投与したが,入院3日目の胸部写真にて浸潤影が拡大し呼吸不全が急速に悪化した。自宅で24時間風呂を使用していたため,レジオネラ肺炎を疑いPZFX+AZM+RFPを追加し治癒した。しかし,レジオネラ抗原は陰性であった。C. peumoniae抗体はIgAのみ陽性であったが,室内でインコとオウムの飼育歴があるためオウム病も疑われ,C. psittaci抗体(CF法)を検査したところ高値であった。CF法はC. peumoniaeC. psittaciの属共通抗原を使用するため交叉反応性を考えると,今回の結果だけではオウム病を合併していたかは不明である。その後のペア血清によるC. peumoniae IgG抗体が上昇を示したのでクラミジア肺炎と診断した。


Key words: クラミジア肺炎,オウム病,重症肺炎,血清抗体価検査